最終更新日:2022-03-16
トラック運転手の労働時間と休日・休憩について
トラックの運転の仕事は、決まったスケジュールに沿って荷物を運ぶことが主体ですが、天候や交通事情、荷主の都合など、不慮の事情によって、スケジュール通りにいかないことも多く、その度に運転手には大きく負担がかかります。
また、トラックの運転の仕事は、毎日決まったルートの配送業だけでなく、毎回違う場所への配送の仕事もあり、さらにその場所が遠方であることもあります。
従って、トラック運転の仕事は他の仕事と違って、労働時間が不規則になりがちであり、気が付くと長時間労働を強いられてしまうこともあります。
昨今、ネット通販の普及による荷物の激増に、ドライバーの数が追い付いていないことも追い打ちになっているのでしょう。
このような事情を背景に、厚生労働省は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」において、労働時間に関して細かく定めています。
【参照】厚生労働省 自動車運転者の労働時間等の改善の基準
【目次】
1.トラック運転手の勤務時間はどれぐらい?
1-1.労働基準法に定められている労働時間は?
1-2.トラック運転手の1日平均の労働時間は?
2.トラック運転手の休みはどのように定められているの?
2-1.休日と休息期間と休憩時間
3.管理業務は会社の仕事だけれども
3-1.運転時間・拘束時間・休日を自分で把握する方法
4.トラック運転手の労働時間は改善している今
また、トラックの運転の仕事は、毎日決まったルートの配送業だけでなく、毎回違う場所への配送の仕事もあり、さらにその場所が遠方であることもあります。
従って、トラック運転の仕事は他の仕事と違って、労働時間が不規則になりがちであり、気が付くと長時間労働を強いられてしまうこともあります。
昨今、ネット通販の普及による荷物の激増に、ドライバーの数が追い付いていないことも追い打ちになっているのでしょう。
このような事情を背景に、厚生労働省は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」において、労働時間に関して細かく定めています。
【参照】厚生労働省 自動車運転者の労働時間等の改善の基準
【目次】
1.トラック運転手の勤務時間はどれぐらい?
1-1.労働基準法に定められている労働時間は?
1-2.トラック運転手の1日平均の労働時間は?
2.トラック運転手の休みはどのように定められているの?
2-1.休日と休息期間と休憩時間
3.管理業務は会社の仕事だけれども
3-1.運転時間・拘束時間・休日を自分で把握する方法
4.トラック運転手の労働時間は改善している今
トラック運転手の勤務時間はどれぐらい?
さて気になるトラック運転手の勤務時間ですが、どれくらい稼働しているのでしょうか?
労働基準法が基本となっている一般的な企業の時間内労働は、1日8時間以、週40時間以内、時間外労働は、月45時間以内かつ年間360時間以内と定められています。
時間外労働は、36協定と言われる「時間外労働・休日労働に関する労使協定書」を締結することで、この定めを超過することも可能となりますが、その上限は定められておらず、会社は実質的に無制限で働かせられる状況でした。
そこで、2018年に成立した労働基準法の改正により、36協定を締結していても時間外労働は年720時間以内と制限が設けられました。
また、年720時間であっても以下の制限があります。
そこで、改正された労働基準法を元に、1日当たりの時間外労働時間を計算してみます。
720時間÷12カ月÷20日(1カ月の平日の平均日数)=3時間/日
つまり、1日平均3時間の時間外労働が認められているということになります。
また、年間720時間の範囲内では、単月100時間未満まで認められることになり、その月の1日当たりの時間外労働時間を計算してみます。
100時間÷20日=5時間/日
以上から、労働基準法で定められている時間外労働時間は年間ベースでは平均3時間/日、多い月でも平均5時間/日ということになります。
従って、時間内労働の8時間を足すと1日の平均労働時間は11時間から13時間ということになります。
【参照】e-Gov法令検索 労働基準法
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」での拘束時間とは、運送業務やトラックの整備、荷物の積み下ろし、及び荷物の到着などを待つ荷待ち時間を意味している労働時間と休憩時間を指しています。
会社の管理下にある状況であることから拘束時間と表現していますが、労働基準法でいう労働時間と同じ解釈で良いでしょう。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」では、この拘束時間を中心に制限されていますが、その中でも1日の拘束時間が基本となっています。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」では、例外はありますが、1日の拘束時間は13時間以内を基本とし、最長でも16時間以内、15時間を超えるのは週2日まで、と定められています。
ここで注意しなければならないのは、1日の拘束時間をカウントするにあたって、その日の始業時刻から24時間以内の拘束時間は、全てその日の拘束時間ということです。
一般企業の1日の平均労働時間が時間外労働も含めて11時間から13時間ということを考えると、トラック運転手の拘束時間は、非常に長いと言えます。
【参照】厚生労働省労働基準局 トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント
拘束時間が長くなっている一番の要因として、荷待ち時間の存在が挙げられます。
荷待ち時間中、トラック運転手にとっては待機の状態ですから具体的な作業はありません。
しかし荷物が到着次第、すぐに積み下ろし作業に入らなければならないので、使用者の管理下にある状況です。
荷物がスケジュール通りに到着する限り問題ないのですが、天候や交通事情、その他荷主の事情等により遅れることは多く、そのような場合にも対応できるように、拘束時間の上限は一般企業の労働時間の上限よりも、長く設定されているというわけです。
トラックが、身体が伸ばせる仕様であることが条件ですが、2人以上で1台のトラックに乗務する場合は、1日の拘束時間を20時間まで延長できるようになっています。
隔日勤務とは、日中から翌日まで日付をまたいでの勤務のことを言いますが、この場合は拘束時間が21時間を超えない範囲で延長できるようになっています。
ただし勤務終了から連続して20時間以上の休息期間が確保されていることが条件となります。
また、夜間に4時間以上の仮眠が取れる場合は、2週間に3回を限度に拘束時間を24時間までの延長が可能です。
トラック運転手の仕事の中でも運転は一番のウェイトを占め、細かく制限されており、2日間の平均運転時間は9時間以内、2週間では44時間と定められています。
2日間の平均運転時間は、ある特定の日とその前日の平均、特定の日とその翌日の平均のいずれも9時間を超えてしまうと法律違反になります。
また、連続運転時間は4時間ごとに30分以上の休憩を取ることとしており、仮に拘束時間が13時間であり、その全てを運転に充てた場合、実際に運転する時間は12時間ということになります。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」では、1カ月の拘束時間は293時間以内と定めており、一定の条件下で320時間まで延長されます。一定の条件は以下の通りです。
月293時間、及び認められている最長の月320時間から、1日当たりの平均拘束時間を算出してみましょう。
1カ月の拘束時間は、仮に1日の拘束時間13時間、週2日だけ拘束時間が16時間であれば、問題なく収まる時間設定となっています。
【関連ページ】トラック運転手の仕事時間、日勤と夜勤の違いから給料までご紹介
労働基準法に定められている労働時間は?
労働基準法が基本となっている一般的な企業の時間内労働は、1日8時間以、週40時間以内、時間外労働は、月45時間以内かつ年間360時間以内と定められています。
時間外労働は、36協定と言われる「時間外労働・休日労働に関する労使協定書」を締結することで、この定めを超過することも可能となりますが、その上限は定められておらず、会社は実質的に無制限で働かせられる状況でした。
そこで、2018年に成立した労働基準法の改正により、36協定を締結していても時間外労働は年720時間以内と制限が設けられました。
また、年720時間であっても以下の制限があります。
①単月では休日労働込みで100時間未満であること
②休日労働込みの時間外労働時間が連続する2カ月から6カ月平均80時間以内であること
③月45時間を超えるのは年間6回まで
②休日労働込みの時間外労働時間が連続する2カ月から6カ月平均80時間以内であること
③月45時間を超えるのは年間6回まで
そこで、改正された労働基準法を元に、1日当たりの時間外労働時間を計算してみます。
720時間÷12カ月÷20日(1カ月の平日の平均日数)=3時間/日
つまり、1日平均3時間の時間外労働が認められているということになります。
また、年間720時間の範囲内では、単月100時間未満まで認められることになり、その月の1日当たりの時間外労働時間を計算してみます。
100時間÷20日=5時間/日
以上から、労働基準法で定められている時間外労働時間は年間ベースでは平均3時間/日、多い月でも平均5時間/日ということになります。
従って、時間内労働の8時間を足すと1日の平均労働時間は11時間から13時間ということになります。
【参照】e-Gov法令検索 労働基準法
トラック運転手の1日平均の労働時間は?
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」での拘束時間とは、運送業務やトラックの整備、荷物の積み下ろし、及び荷物の到着などを待つ荷待ち時間を意味している労働時間と休憩時間を指しています。
会社の管理下にある状況であることから拘束時間と表現していますが、労働基準法でいう労働時間と同じ解釈で良いでしょう。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」では、この拘束時間を中心に制限されていますが、その中でも1日の拘束時間が基本となっています。
1日の拘束時間の基本は13時間
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」では、例外はありますが、1日の拘束時間は13時間以内を基本とし、最長でも16時間以内、15時間を超えるのは週2日まで、と定められています。
ここで注意しなければならないのは、1日の拘束時間をカウントするにあたって、その日の始業時刻から24時間以内の拘束時間は、全てその日の拘束時間ということです。
一般企業の1日の平均労働時間が時間外労働も含めて11時間から13時間ということを考えると、トラック運転手の拘束時間は、非常に長いと言えます。
【参照】厚生労働省労働基準局 トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント
拘束時間が長くなっている一番の要因は?
拘束時間が長くなっている一番の要因として、荷待ち時間の存在が挙げられます。
荷待ち時間中、トラック運転手にとっては待機の状態ですから具体的な作業はありません。
しかし荷物が到着次第、すぐに積み下ろし作業に入らなければならないので、使用者の管理下にある状況です。
荷物がスケジュール通りに到着する限り問題ないのですが、天候や交通事情、その他荷主の事情等により遅れることは多く、そのような場合にも対応できるように、拘束時間の上限は一般企業の労働時間の上限よりも、長く設定されているというわけです。
1日の拘束時間が延長できる例外①2人以上で乗務する場合
トラックが、身体が伸ばせる仕様であることが条件ですが、2人以上で1台のトラックに乗務する場合は、1日の拘束時間を20時間まで延長できるようになっています。
1日の拘束時間が延長できる例外②隔日勤務
隔日勤務とは、日中から翌日まで日付をまたいでの勤務のことを言いますが、この場合は拘束時間が21時間を超えない範囲で延長できるようになっています。
ただし勤務終了から連続して20時間以上の休息期間が確保されていることが条件となります。
また、夜間に4時間以上の仮眠が取れる場合は、2週間に3回を限度に拘束時間を24時間までの延長が可能です。
1日の拘束時間の中で運転時間はどのぐらい?
トラック運転手の仕事の中でも運転は一番のウェイトを占め、細かく制限されており、2日間の平均運転時間は9時間以内、2週間では44時間と定められています。
2日間の平均運転時間は、ある特定の日とその前日の平均、特定の日とその翌日の平均のいずれも9時間を超えてしまうと法律違反になります。
また、連続運転時間は4時間ごとに30分以上の休憩を取ることとしており、仮に拘束時間が13時間であり、その全てを運転に充てた場合、実際に運転する時間は12時間ということになります。
トラック運転手の1カ月の拘束時間は293時間が基本ライン
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」では、1カ月の拘束時間は293時間以内と定めており、一定の条件下で320時間まで延長されます。一定の条件は以下の通りです。
①年間3,516時間を超えないこと
②月293時間を超えるのは年6回まで
③所定の労使協定を結ぶこと
②月293時間を超えるのは年6回まで
③所定の労使協定を結ぶこと
月293時間、及び認められている最長の月320時間から、1日当たりの平均拘束時間を算出してみましょう。
・293時間÷20日=14.65時間/日=14時間39分/日
・320時間÷20日=16時間/日
・320時間÷20日=16時間/日
1カ月の拘束時間は、仮に1日の拘束時間13時間、週2日だけ拘束時間が16時間であれば、問題なく収まる時間設定となっています。
【関連ページ】トラック運転手の仕事時間、日勤と夜勤の違いから給料までご紹介
トラック運転手の休みはどのように定められているの?
休日と休息期間と休憩時間
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」では、休憩と休息期間と休日を明確に分けて定義しています。
休憩時間
短時間仕事から離れている状態を指します。一定の自由はありますが会社の管理下にあり、拘束時間の一部です。
休息期間
拘束時間から次の拘束時間までの時間を指し、終業時間から次の始業時間までのことです。
会社の管理下にはなく、生活時間として自由に過ごして良いことになっています。
1日8時間以上の休息期間を取ることが義務付けられていますが、連続して8時間の確保が困難な場合は、原則として2週間から4週間程度の全勤務回数の2分の1を限度として、分割して取得できるようになっています。
その場合、1日で1回あたり4時間以上合計10時間以上の取得が必要です。また、フェリー乗船時間は、休息時間として取り扱われます。
休日
休息期間からさらに24時間以上連続した時間を指します。
8時間以上の休息期間が義務付けられているので、8時間+24時間=32時間以上連続した時間が休日の基本となりますが、2人以上の乗務などで休息期間が短縮された場合であっても、最低30時間以上連続した時間でなければ休日として取り扱われません。
逆に隔日勤務後の休日の場合は、20時間の休息期間+24時間=44時間以上連続した時間が必要です。
管理業務は会社の仕事だけれども
基本的に、時間管理を含めた管理業務は会社の仕事であり、従業員が自分で管理するものではありません。
しかしながら、会社任せにしていると知らず知らずのうちに、最悪の場合分かっていながら過剰な勤務を強いることも十分想定されます。
そして、自分の身は自分で守れるように、自分の勤務状況は常に把握しておくようにしましょう。
拘束時間と休息時間は表裏一体なので、どちらかを把握している限り問題ありません。
自分で時間を把握しておくことで、法令から逸脱した勤務を事前に避けられるので、少しでも把握しておくようにしましょう。
常に時間メモするということは、とても面倒ですが、最も確実な方法です。
何時に運転開始で、何時に休憩したか、何時に到着して、何時に終業したか逐一メモしておくと、後からの検証にも使えます。
手書きである必要は無いので、スマホのメモ機能、ボイスレコーダー機能、ドライブレコーダーを使うのも有効でしょう。
もちろん会社がある程度スケジュールは立ててくれているのでしょうが、再度自分でスケジュールを立てることは、事前に無理のない時間管理ができるようになります。
メモするよりもスケジュールとの誤差で時間を管理できるので、管理も比較的簡単です。
記録することに一生懸命になりすぎて、確認することを忘れてしまっては意味がありません。
自分がどれぐらいの勤務状況なのか、逐一チェックできるようにしておきましょう。
しかしながら、会社任せにしていると知らず知らずのうちに、最悪の場合分かっていながら過剰な勤務を強いることも十分想定されます。
そして、自分の身は自分で守れるように、自分の勤務状況は常に把握しておくようにしましょう。
運転時間・拘束時間・休日を自分で把握する方法
拘束時間と休息時間は表裏一体なので、どちらかを把握している限り問題ありません。
自分で時間を把握しておくことで、法令から逸脱した勤務を事前に避けられるので、少しでも把握しておくようにしましょう。
常に時間をメモしておく
常に時間メモするということは、とても面倒ですが、最も確実な方法です。
何時に運転開始で、何時に休憩したか、何時に到着して、何時に終業したか逐一メモしておくと、後からの検証にも使えます。
手書きである必要は無いので、スマホのメモ機能、ボイスレコーダー機能、ドライブレコーダーを使うのも有効でしょう。
予めスケジュールを立てておく
もちろん会社がある程度スケジュールは立ててくれているのでしょうが、再度自分でスケジュールを立てることは、事前に無理のない時間管理ができるようになります。
メモするよりもスケジュールとの誤差で時間を管理できるので、管理も比較的簡単です。
チェックは忘れずに
記録することに一生懸命になりすぎて、確認することを忘れてしまっては意味がありません。
自分がどれぐらいの勤務状況なのか、逐一チェックできるようにしておきましょう。
トラック運転手の労働時間は改善している今
働き方改革の後押しもあり、トラック運転手の労働環境は改善していますが、未だ過剰な労働を強いる会社もあります。
そのような会社に勤めてしまうことがないように、またそのような会社かどうかをいち早く見抜くためにも、労働時間に関する法令については把握し、活用するようにしていきましょう。
【参照】国土交通省 【応用編】トラック運転者の労働時間等の改善の基準
そのような会社に勤めてしまうことがないように、またそのような会社かどうかをいち早く見抜くためにも、労働時間に関する法令については把握し、活用するようにしていきましょう。
【参照】国土交通省 【応用編】トラック運転者の労働時間等の改善の基準
この記事の執筆・監修
トラQ編集部 佐藤 哲津斗
運営会社、株式会社しごとウェブの代表。運送業界に貢献できるようにトラQを運営しています。
トラQを使っていただいている皆様の仕事探しのお役に立つことができれば幸いです。