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最終更新日:2021-11-02

10トントラックの運転に必要なコツは?免許に関する項目も確認

トラQ編集部
10トントラックの運転に必要なコツは?免許に関する項目も確認

10トントラックは、トラック運転手の中でも一番大きなトラックを扱うものとして認識している人も多いと思います。

ただ、より詳しい情報を知っておくと、就職・転職活動や実際の運転で役立つところはいくつもあります。

そんな10トントラックの情報は、以下のようにまとめられます。

・10トントラックは大型トラックの中でも最大規格のトラックである
・10トントラックは最大規格であることから左折やバックも難しくなる
・普通免許から大型免許の取得は難易度が高い


これらの情報も含めて10トントラックについて紹介していきます。



【目次】
1.10トントラックの基本情報
 1-1.大型トラックの全てが10トントラックというわけではない?
 1-2.10トントラックは大型トラックの中でも最大規格?
 1-3.10トントラックを運転できる免許
 1-4.10トントラックの形状
2.10トントラックの左折に必要なコツ
 2-1.内輪差とオーバーハング
 2-2.左折のコツⅠ;周囲の交通状況を確認する
 2-3.左折のコツ2:後方のことを意識しながら曲がり始める
 2-4.左折のコツ3;ミラーで確認しながら曲がっていく
 2-5.右折・カーブの場合は?
3.10トントラックで左折以外の運転に必要なコツ
 3-1.バックのコツ
 3-2.アクセルとブレーキのコツ
 3-3.坂道発進・停止のコツ
4.大型免許の取得に向けて
 4-1.いきなり大型免許を取得するのは難しい?
 4-2.大型免許の費用
 4-3.大型免許の取得後の就職は?
5.10トントラックの運転のコツ まとめ


10トントラックの基本情報

10トントラックの基本情報

10トントラックは、大きなトラックであることは間違いないのですが、大きなトラックだからといって10トントラックとは限りません。

最初に10トントラックの基本的な部分を見ていきましょう。

大型トラックの全てが10トントラックというわけではない?


トラック業界で10トントラックと呼ばれるトラックは、主に大型トラックのことを指しています。

ただし、全ての大型トラックが10トントラックになるわけではありません。

道路交通法における大型トラックの基準は以下のようになります。

大型トラックの基準

・荷物を積める限度である「最大積載量」が「6.5トン以上」である
・最大積載量やその他車両に付属する全ての重さを含めた「車両総重量」が「11トン以上」である


そして、10トントラックの「10トン」は最大積載量を表しています。

つまり、大型トラックには最大積載量が10トン未満のトラックも存在するので、大型トラック=10トントラックにはならないのです。

しかし、大型トラック=10トントラックと言われがちなのには別の理由があります。

10トントラックは大型トラックの中でも最大規格?


10トントラックの車両総重量は、最大積載量が10トンであることから計算すると、約20トン前後になります。

そして、大型トラックの車両総重量は11トン以上と天井がないように書かれている場合がありますが、実際は法律で通常20トン、最大25トンまでの範囲内です。

このことから10トントラックは、大型トラックとしても最大のトラックであることがわかります。

会社の業務として大型トラックを使う時は、かなり重量がある荷物を扱うことが多く、その場合は最初から最大規格の大型トラックを使うことが多いのです。

それもあってトラック業界的にも、大型トラックを使うことは一般的に、10トントラックを使うことであるという認識になっています。

10トントラックを運転できる免許


10トントラックは大型トラックに含まれることから、運転するには大型免許が必要になります。

大型免許の基準は以下の通りです。

大型(一種)免許

・年齢が21歳以上かつ普通免許の取得から3年以上経過している者が取得可能
・車両総重量が11.0トン以上の車両
・最大積載量が6.5トン以上の車両
・乗車人員30人以上の車両


年齢と免許の要件が必要になりますが、大型(一種)免許の取得によって、通常の道路で使うほとんどの車両が運転できるようになります。

ただし、大型トレーラーやブルドーザーといった特殊な車両に関しては、けん引免許や大型特殊免許といった別の免許が必要です。

10トントラックの場合は、クレーン付きの車両を使う場合は別の免許が必要ですが、それ以外は大型免許のみで完全に運転できることになります。

10トントラックの形状


10トントラック及び大型トラックと言われると、荷台が箱型の巨大な貨物自動車をイメージする人がいるかもしれません。

大量運送を目的とした荷台が箱型のトラックはバンボディと呼ばれるもので、10トントラックの中でもメジャーな形状となっています。

また、荷台が平たい形状の平ボディもよく使われており、こちらは建築材や家具などを積む際に重宝される形状です。

しかしこれらメジャーな形状以外にも、10トントラックには様々な形状が存在しています。

土や砂利などを運搬するダンプカー、燃料や高圧ガスを運ぶタンクローリーもトラックに分類される車両で、この2つは10トントラックの規格でも多く使われる形状です。

危険物を取り扱う場合は危険物取扱者の資格が必要になるなど、別の条件を求められることはありますが、10トントラックだけでも業務の幅は広いものです。

10トントラックの左折に必要なコツ

10トントラックの左折に必要なコツ

トラックの運転で最も難しい部分と言われるのが曲がる時で、特に交差点での左折は事故を発生させる可能性も高いところから、最も注意が必要な部分です。

10トントラックはその中でも最大規格であるため、難易度もかなり高くなっていますが、必要なコツを知っておくと、動かしやすくなります。

内輪差とオーバーハング


車両が曲がる時には内輪差が発生するもので、内輪差は車両が大きさに伴って大きくなっていきます。

内輪差が大きくなるとその範囲内に、単車や通行人を巻き込む可能性が高くなり、トラックでは左折する時は、その箇所が死角になることもあって、かなり危険な空間となります。

一方、内輪差をなるべく最小限にしようと思って曲がると、今度はトラックのオーバーハングが別の車両やガードレール等の物に接触してしまう可能性が生じます。

オーバーハングとは、前輪及び後輪の中心からタイヤを被さるようにはみ出した車体の部分で、トラックではこの部分もかなり大きさがあります。

曲がる際の意識が内輪差の方に捉われ過ぎると、今度は車体のはみ出した部分が、思わぬ物に接触してしまう可能性があるのです。

この2つ点がトラックの左折を難しくしており、10トントラックではそれらの大きさも最大となっています。

左折のコツ1:周囲の交通状況を確認する


左折する際、最初に確認すべきなのは、周囲の交通状況です。

内輪差によって巻き込む可能性がある単車や通行人はもちろんのこと、トラックが左折する先にある車両や反対車線の車両も同時に確認しておく必要があります。

もしも単車や通行人が危険な箇所に重なる可能性があるのなら、先に行くのではなく、通り過ぎるのを待ちましょう。

早く行動しようと速度を上げたまま左折しようとすると、上手くハンドルが切れずに危険な状況を発生させてしまうかもしれません。

周囲をしっかり確認するためにも、左折前にしっかりと減速しながら交差点に入って行くことが重要になります。

左折先の車両や反対車線の車両も位置によって曲がるタイミングやハンドルの回し方を変える必要があり、事前に把握してきたい情報です。

大きな車体を動かすことは慎重になり過ぎるくらいがちょうどいいので、注意深く確認しておきましょう。

左折のコツ2:後方のことを意識しながら曲がり始める


周囲が安全に左折できる状況とわかったところで、次に重要なのは曲がり始めのタイミングです。

トラックは車体が大きいため、完全に曲がり切るまでに時間がかかり、スムーズに曲がっていかないと、他の車両の迷惑になってしまうこともあります。

しかし、そうならないように急いで曲がり始めると、かえって曲がりにくくなってしまうものです。

トラックを動かす際に重要なのは、トラックの後方部分であり、後方がどのように動くか意識することで、運転の難易度も大きく変わってきます。

左折の場合は、先に前方部分が曲がり始めてしまうと、後方部分が曲がり切れなくなるので、前方部分が曲がり角を少し過ぎてからハンドルを切り始めた方が綺麗に曲がれます。

またハンドルを切る時も、少し右側に膨らんでから左に戻した方が、そのまま左折するよりも曲がりやすいことがあります。

この曲がり始めの位置や右側に膨らむ判断も、事前に周囲の車両に影響がないかわかっていないとできない動きです。

後方が曲がりやすくなるように、意識して曲がり始めを設定していきましょう。

左折のコツ3:ミラーで確認しながら曲がっていく


曲がり始めて後輪が曲がり角を過ぎるまでは、ハンドルをゆっくり動かしていきつつミラーで周囲を見ていくことになります。

事前の確認は、あくまで死角で見えない箇所をカバーするためのもので、曲がっている最中で見える範囲は、常に確認しておかなければいけません。

左折の場合は左ミラーで万が一を考えて巻き込みの確認をしたり、サイドミラーで後輪の動きを見たりして、最後まで油断しないようにしましょう。

後輪が曲がり角を過ぎると、そのままの流れで後輪も曲がり切るので、左折の完了です。

右折・カーブの場合は?


右折も全体的なコツは左折の時とほぼ変わりません。

右折の場合は曲がる方向的に単車を巻き込む可能性が低く、右折中も目視で右の内側を確認できるので、少しだけ難易度は落ちます。

ただ、通行人を巻き込みやオーバーハングによる接触は変らず発生する可能性があるので、右折も細心の注意を払って動かしていきましょう。

また、曲がり切るのではなく、少し曲がる必要があるカーブでも基本的には入る前に減速していくことが運転のコツです。

10トントラックは重量があるため、速度を出したままカーブしようとすると、横転してしまうリスクも高くなっています。

道路の幅によってはカーブ中に車体が反対車線に少しはみ出してしまう可能性があるので、周りの車両の安全を考えて、ゆっくりと曲がっていきましょう。

10トントラックで左折以外の運転に必要なコツ

10トントラックで左折以外の運転に必要なコツ

左折は難しいと言われがちな箇所であることから別の項目としましたが、それ以外にも、10トントラックはその大きさから、難しく感じる箇所は多々あります。

こちらも運転のコツを把握しつつ、10トントラックの感覚に慣れていきましょう。

バックのコツ


左折と同様に難しいと言われることもあるバックですが、10トントラックほどの大きさになると、車庫入れの際は誘導して貰いながらバックすることが無難です。

座席の高さがあり、死角で見づらい箇所も多いバックは、運転席からの目視やミラーだけでは感覚を掴むのが難しく、周囲の把握もしづらいものです。

1人でバック駐車する必要がある場面では、まずトラックから降りて、周囲に接触の可能性がある物がないか目視確認をしましょう。

また、最初から他の車両や物がない広い箇所を選ぶことも、余計な事故を起こさないコツになります。

その上で綺麗にバックするコツは、白線や車庫の角を意識してバックしていくことです。

近年では10トントラックにバックカメラを付けていることも多いので、モニターでそれらを目標にしながら、バック駐車をしていくと良いでしょう。

アクセルとブレーキのコツ


10トントラックでは急アクセルや急ブレーキは事故の原因につながる行動なので、絶対に避けないといけません。

大型トラックには90km以上の速度が出ないようにするリミッターが設けられており、無茶な速度は元々出せないようになっています。

しかし90㎞以下でも重量のある車体が速度を出すことは、それだけ危険を伴うもので、ブレーキをかけてもすぐには止まれなくなります。

そのため、10トントラックを運転する時は、常にゆったりとした速度で走行することが安全に運転していくコツです。

ゆったりした速度であれば急ブレーキをかける必要もなくなり、荷物の安全の確保や運転手自身の腰への負担も軽減されます。

坂道発進・停止のコツ


10トントラックには通常のブレーキとは別に、坂道発進を補助するブレーキシステムや具足り坂で補助的に使う排気ブレーキが付いています。

10トントラックは重量が重いことで坂道では動きづらかったり、後ろに下がってしまったりするので、これらの機能は非常に重要です。

運転前の点検項目にもあるとは思いますが、ブレーキに関わる機能が正常に動いているかの確認は、安全運転をするためのコツになります。

また、坂道での走行もゆったりしたものにしておくと、急ブレーキに頼らない動きができるので、通常の走行と合わせて意識していきましょう。

大型免許の取得に向けて

大型免許の取得に向けて

10トントラック運転手になろうと考えている人の中には、まだ大型免許を取得していない人もいると思います。

ここでは大型免許の取得に関して確認しておくべき項目を見ていきましょう。

いきなり大型免許を取得するのは難しい?


大型免許は条件的には21歳以上で普通免許の取得から3年で取得できるものです。

しかし実際に大型免許を取得する人は、中型免許を所持していてスキルアップのために上の免許を目指す人が多くなっています。

その理由の一つとして、普通自動車から大型自動車へいきなり変わると、感覚の違いがあり過ぎて難しいというところです。

中型と大型でも大きさの違いはありますが、基本的な感覚は近いところも多いので、要領の呑み込みの早さも変わってきます。

一方で普通免許の場合はMT車の操作に慣れていなければ、その感覚に慣れるところ始まり、ブレーキやカーブなどトラック特有の感覚を身につけなければいけません。

ただ、普通免許からスタートすることが不可能というわけではありません。

運転を上達するための教習でもあるので、教習の時点では難しいことを理解しつつ、先に紹介した運転のコツを参考にしながら免許取得に挑戦していきましょう。

大型免許の費用


大型免許の教習費用は、現在所持している免許によって変わってきます。

大型免許

・普通免許(2017年3月12日以降)……32万円前後
・準中型(5t)限定免許(2007年6月2日〜2017年3月11日の間に取得した普通免許)……30万円前後
・準中型免許……28万円前後
・中型(8t)限定免許(2007年6月1日以前に取得した普通免許)……25万円前後
・中型免許……20万円前後


普通免許がAT限定の場合は、上記の費用に加えて限定解除の費用が必要になります。

中型免許からのスキルアップが多い理由は、この料金が抑えられるところもありますが、実際は中型免許の取得時の費用を払っているので、完全に得するわけではありません。

大型免許の取得後の就職は?


大型免許の試験に合格して免許を取得できた場合に、就職・転職先があるかということで不安になるかもしれません。

普通免許から大型免許を取得した場合は、トラック運転手の経験がないことから、採用されないかもしれないという不安は理解できます。

しかし近年はトラック運転手が不足しており、中でも難易度の高い大型免許が必要な10トントラック運転手は、非常に求められる人材です。

そのため経験の有無に関わらず、10トントラック運転手として採用される可能性は高いと言えます。

実際に現場に入る際も未経験とわかっていたら、いきなり1人で運転させられることは少なく、先輩に付いて見て貰うなどの対応をしてくれるのが普通です。

反対にそういった未経験や初心者への補助を明記していない会社は、様々な点で問題がある会社かもしれません。

もしも不安がある人は、採用面接の場で自分が未経験であることを相談した上で話を進めていくと、より良い会社に巡り合えるでしょう。

10トントラックの運転のコツ まとめ


最後に10トントラックの情報について、もう一度まとめていきます。

・10トントラックは最大積載量が10トンのトラックであり、大型トラックの中でも一番使われる最大規格のトラックである
・10トントラックは最大規格であることから内輪差や重量も大きくなり、左折やバックといった動作も難しくなるので、ゆったりした走行が基本になる
・普通免許から大型免許の取得は、中型免許を所持している人より難しいが不可能ではないので、未経験でも採用されやすいことから十分検討できる


10トントラックは、大型トラックそのものを指すわけではありませんが、トラック業界的に大型トラックというと10トントラック、という認識になっています。

運転には必ず大型免許が必要になりますが、一度取得すれば多くの需要があって、業務的にも高い給料が期待できるので、魅力を感じる人はぜひ目指してみましょう。
この記事の執筆・監修
トラQ編集部 佐藤 哲津斗

運営会社、株式会社しごとウェブの代表。運送業界に貢献できるようにトラQを運営しています。
トラQを使っていただいている皆様の仕事探しのお役に立つことができれば幸いです。

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