最終更新日:2021-11-02
8トントラックには大型免許が必要か増トンによる中型との違いを開設
トラック運転手としての仕事に興味があり、トラック関連の情報を調べていた…そんな時に「8トントラック」という言葉を見かけることがあるでしょう。
8トントラックは他のトラックと比べると特殊な規格のトラックであり、特に必要な免許については勘違いしてしまいがちなので、よく確認しておくべき項目です。
そんな8トントラックの情報は大きく以下の3つにまとめられます。
・8トントラックは中型トラックの増トントラックである
・8トントラックは中型トラックベースだが大型免許でしか運転できない
・8トントラックは積み荷が多くなることに関して運転時の注意が必要
・8トントラックは中型トラックベースだが大型免許でしか運転できない
・8トントラックは積み荷が多くなることに関して運転時の注意が必要
これらを含めて、8トントラックの詳細や運転などを紹介していきます。
【目次】
1.8トントラックとはどんなトラック?
1-1.8トンとは増トンしたトラックの最大積載量である
1-2.8トンに増トンすることのメリット
1-3.8トントラックは大型免許でしか運転できない
1-4.8トントラックの製造と購入
1-5.8トントラックの主な形状
2.8トントラックの運転の注意点とコツ
2-1.8トントラックの速度制御
2-2.8トントラックの曲がり方
2-3.8トントラックは横風と横転に注意!
3.8トントラックの運転手を求める会社とは?
3-1.会社が8トントラックを使うメリット
3-2.就職・転職者が8トントラック運転手になるメリット
3-3.会社の募集形式
3-4.業務内容と勤務時間
3-5.大型免許を持っていない場合は?
4.8トントラックの運転についてのまとめ
8トントラックとはどんなトラック?
8トントラックという名称は一般的にはあまり見かけるものではありませんが、トラック業界で時折使われる名称となっています。
まずは8トントラックの基本的な情報から見ていきましょう。
8トンとは増トンしたトラックの最大積載量である
トラックは道路交通法の基準として、最大積載量と車両総重量ごとに小型・中型・大型トラックに分類されています。
最大積載量は積める荷物の重さ、車両総重量は最大積載量や燃料などの車両全体の重さのことであり、この値はトラックの分類だけではなく、免許にも関わってきます。
そしてそれとは別に、トラック業界で使われる基準として、最大積載量を参考にした4トントラックや10トントラックといった呼ばれ方があります。
この中で4トントラックは中型トラック、10トントラックは大型トラックのことを指しており、トラック会社や販売メーカーによってはトン表記の方を使う場合があるのです。
そして、肝心の8トントラックはどこに当てはまるかというと、車両としては中型トラックくらいの大きさで、最大積載量は大型トラックほどの重量を積めるトラックとなります。
この形はトラックとしては特殊な形であり、トラック業界ではこのような改造をしたトラックを増トントラック(増トン車)と呼んでいます。
増トントラックには同じく中型トラックをベースに最大積載量を増した6トントラックが存在しますが、8トントラックと大きな違いがあります。
その違いとはどのようなものなのでしょうか?
8トンに増トンすることのメリット
中型及び大型トラックの基準と8トントラックを比較すると以下のようになります。
・中型トラック……車両総重量が11トン未満で最大積載量が6.5トン未満のトラック
・8トントラック……車両総重量12~13トン前後で最大積載量が8トン以下のトラック
・大型トラック…… 車両総重量が11トン以上で最大積載量が6.5トン以上のトラック
・8トントラック……車両総重量12~13トン前後で最大積載量が8トン以下のトラック
・大型トラック…… 車両総重量が11トン以上で最大積載量が6.5トン以上のトラック
8トントラックのベースは中型トラックですが、重量的にはどちらも増している状態で、大きさだけで見ると、道路交通法の大型トラックに分類されます。
そこだけ見ると、わざわざ8トントラックを使う必要があるのかと思うかもしれませんが、8トントラックには大型トラックにはない大きなメリットがあります。
8トントラックはあくまで中型トラックをベースにしているため、販売価格が大型トラックよりも抑えられる傾向があります。
更にトラックの維持費や車検などの面でも、大型トラックはかなりの費用がかかりますが、こちらも中型トラックベースで考えられるため、大型トラックより安く維持できます。
このように、仕事に求める最大積載量が8トントラックにあれば、大型トラックよりも料金的な面でお得になるメリットがあるため、需要がある増トントラックです。
8トントラックは大型免許でしか運転できない
8トントラックは大型免許でしか運転できない
たくさんの荷物や重い荷物が積めてメリットしかないように思える8トントラックですが、免許に関しては注意が必要です。
ベースとなる中型トラックとその上の規格である大型トラックは、それぞれ中型免許・大型免許を持っていないと運転できません。
免許の運転基準には以下の車両総重量と最大積載量が定められています。
・中型免許……車両総重量が11.0トン未満かつ最大積載量6.5トン未満の車両が運転可能
・大型免許……車両総重量が11.0トン以上かつ最大積載量6.5トン以上の車両が運転可能
・大型免許……車両総重量が11.0トン以上かつ最大積載量6.5トン以上の車両が運転可能
8トントラックでも免許の場合は、販売価格や車検のように中型トラックとして扱われるのではなく、大型トラックの基準に当てはまります。
また、普通免許の中には2007年6月1日以前に取得した免許を中型(8t)限定免許として扱うことになっています。
しかし、中型(8t)限定免許の運転基準は、車両総重量8トン未満かつ最大積載量5トン未満の車両であり、この8トンは車両総重量の方を指していることから、8トントラックは運転できません。
同じ増トントラックである6トントラックは中型免許でも運転可能ですが、8トントラックは重量の関係から必ず大型免許が必要になります。
8トントラックの製造と購入
先に紹介したように8トントラックは中型トラックを増トンという形で改造したトラックです。
この改造は正規の手段によって行われて、道路交通法などの一定の基準に反しない限りは違法行為になりません。
ただ近年では、元からある中型トラックを一旦預けて8トントラックに改造するというパターンは少なくなっています。
その理由の一つが増トンすると車両が変わるため、車両証明などの増トンしたことに関わる手続きが必要になることです。
改造のためにトラックを預ける時間があって、改造後も様々な申請が必要になるのは、トラックを使えない期間が非常に長くなってしまいます。
もう一つの理由は、トラックの販売メーカーが最初から8トントラックとして販売している車両があることです。
増トントラックは一定の需要があることから、6トンや8トンの規格に合わせたトラックを販売メーカーも製造しています。
車両の全体的な改造をすることで、新しくトラックを買えるほどの費用になることもあるので、最初から8トントラックを買った方がお得になる可能性が高くなります。
8トントラックのメリットの一つに料金的な面もあることから、メーカーが作った8トントラックを中古販売で購入するのがよくある購入パターンです。
8トントラックの主な形状
中型トラックはバンボディ(箱型の荷台)や冷凍冷蔵車、ダンプ型やクレーン付きの荷台まで多種多様な形状があります。
この中で8トントラックは、最大積載量を増やすことを目的としているので、大量物流などで重宝されるバンボディや冷凍冷蔵車が増トンされる傾向があります。
もちろん、平ボディやダンプ型の8トントラックもありますが、全体で見ると物流で使われやすい形状がメジャーとなっています。
中型トラックから8トントラックは見た目での変化はあまりありませんが、重量の上がった車体を支えるため、タイヤが変わるものです。
通常、中型トラックではナットが入るタイヤのボルト穴が6つであるのに対して、増トントラックでは8つや10つになっています。
8トントラックの場合は増トンの中でも最重量になるので、10つのボルト穴を持つタイヤが付くことが多くなります。
8トントラックの運転の注意点とコツ
8トントラックは中型トラックベースではありますが、中型トラックが既に大きめの車両になるため、乗用車と比べると運転の難易度が少し上がります。
また増トンしたことによって、4トントラック以上に注意すべき点も増えるものです。
8トントラックの運転の注意点と運転しやすくなるコツについて見ていきましょう。
8トントラックの速度制御
8トントラックは使用目的から、多くの荷物を積んだ状態で走行することが多いトラックです。
そして、積み荷が多いとトラックの動き始めや停止のタイミングで、他の車両とは違った感覚になります。
トラックは元々重量があって、車体が長い車両であることから、速度が出た状態ではブレーキを踏んで停止するまでの時間が長くなります。
そこに積み荷の重さが加わることによって、一度速度が出るとなかなか減速せず、停止のタイミングはかなり遅くなってしまうのです。
そして、8トントラックで最大積載量限度近くまで積み荷がある時は、動かし始めるためにアクセルを踏んで速度を上げてしまいがちです。
しかし、アクセルを踏む癖がついて速度を上げたままの走行が多くなると、今度は停止する時に急に止まれず、危険が生じる場面が多くなります。
この走行と停止を上手くしていくには、普段から速度を上げ過ぎない走行をすることがコツです。
動き始めにアクセルを踏んでも、走行中に速度を調整する癖をつけることによって、緊急時の回避や停止もスムーズに出来るようになります。
トラックは座席の高く視野が広いことから、ついつい速度を上げてしまいがちなので、速度制御は最も気を使っていきたい部分です。
8トントラックの曲がり方
中型トラックは乗用車と違って内輪差が大きくなり、内側に単車や人を巻き込む事故や内輪差を生じさせないように動く必要があるなど、他の車両に接触する事故が発生しやすい車両です。
更に車体の大きさや死角があることが相まって、中型トラックのカーブや右左折といった曲がる動きが難しいと感じてしまう人も多くいます。
8トントラックではベースは変わらないので、内輪差が多くなることはありませんが、荷物を多く積んでいる場合は、曲がる時のハンドルも重くなりがちです。
そのため、曲がる際はより慎重にハンドルを切っていかないと、思ったように曲がれない可能性もあります。
そんな曲がる際のコツは、カーブや右左する交差点に入る前にしっかりと減速することです。
速度があるとハンドル捌きを早めにしなければいけないので、その状況を作らないことで安全に曲がり切れます。
また、曲がり始めた時はトラックの後方に意識を向けて、後輪がどのように動くかをイメージしていきましょう。
激しく動かすと積み荷にも影響してくるので、曲がる際中も慎重さを忘れずにハンドルを切っていくべきです。
8トントラックは横風と横転に注意!
8トントラックで積み荷が多くなることは、スピードやハンドル捌きによってバランスを崩し、横転してしまうリスクも上がっています。
また、トラックは車体が長いことから横風の影響を受けやすい車両であり、強い横風が吹いた時は横転することもある車両です。
8トントラックの場合、重さがあるおかげで安定するように思うかもしれませんが、車体が重くなると風の影響が少なくなるわけではありません。
荷台が空であったり、荷物を積んだ状態で速度が上がったりすることによって、横転するリスクは高くなってしまいます。
この横転を防ぐコツも速度を制御することで、特に高速道路のような速度を出しやすく遮蔽物の少ない場所は、注意が必要です。
大量物流ができる8トントラックでは、高速道路の使用頻度も高いので、運転する日の天候を確認しながら速度は抑え気味にしていきましょう。
8トントラックの運転手を求める会社とは?
8トントラックの分類や運転のコツがわかったところで、実際に8トントラック運転手はどのような会社で求められているのでしょうか?
会社が8トントラックを使うメリット
トラック会社が大型トラックではなく、8トントラックを使うメリットは、やはり費用面が一番強いです。
中型トラックの維持費で大型トラック並みの荷物が扱えることは、会社の利益から維持費に回す分を抑えられます。
また1台辺りの運送量が増えることで、一つの依頼に対して複数台のトラックや複数回の移動もいらなくなり、走行にかかる費用だけでなく、作業の効率化も実現します。
就職・転職者が8トントラック運転手になるメリット
会社が8トントラック運転手を求めている場合に、就職・転職者の条件があっていると、採用にかなり有利になります。
大型免許は、普通以上の免許の取得から3年以上の経過と年齢が21歳以上であることが取得の条件となっています。
そして、教習所で取得できる免許ではありますが、運転技術をかなり要するので、なかなか取得が難しい免許です。
そのことから、大型免許を所持しているだけで、採用条件の大きな課題を達成していると言っても過言ではない状態なのです。
実際に運転するのは、中型トラックベースの8トントラックなので、教習所で扱った大型トラックよりも難易度は低くなります。
大型トラックと比べると給料面で差はあるかもしれませんが、運転のしやすさで見ると、8トントラックの方を選ぶことも、大きなメリットにもなり得るのです。
会社の募集形式
8トントラックは大型免許が必要な特殊な車両であるため、会社側で募集をかける時は条件の欄に大きく書かれています。
ミスマッチを防ぐために8トントラックという名称に加えて「要大型免許」や「大型車」といった注意書きが付いているパターンも多くなっています。
またトラックの形状に関しても、ダンプやミキサー車の場合は、募集欄にわかりやすく書かれています。
大型免許があれば10トントラック(大型トラック)も運転できるので、両方を所持している会社は8トン・10トントラックの運転手として募集をかけることもあります。
業務内容と勤務時間
業務としてはバンボディの8トントラックで運送業が多く、中距離から長距離の運転が必要となります。
中距離の場合、配送エリアは関東圏などの大きなエリア移動をしていくことが多く、長距離の場合は県を大きく跨いだ拠点から別拠点への移動が多くなります。
勤務時間は中距離で食品や雑貨等を配送する場合は、一般的な会社員の平日業務と同様の時間帯になります。
それ以外では早朝勤務もしくは夜間勤務といった時間帯もあるので、自分の適した時間帯にするためにも、勤務時間の項目はよく確認しておきましょう。
大型免許を持っていない場合は?
8トントラックは大型免許が必須になっていますが、時間や費用の関係から持っていない人も多い免許です。
ただ、8トントラック運転手を募集する会社の中には、中型免許を取得することによって、「応相談」という形で採用を考える場合もあります。
この場合、会社として補助金を出した上で大型免許の取得をして貰う形になる可能性もあります。
そのため、中型免許を取得していて、8トントラックの募集の中で「応相談」を見つけた時は、一度目を通しておくと良いでしょう。
一方、ある程度の運転技術が必要であることから、中型免許よりも下の規格の免許では、このような特例的な扱いはされません。
しかし近年は、トラック運転手が不足しているので、未経験の運転手でも歓迎される傾向が強いです。
教習所に通いながら大型免許を取得予定として、就職・転職していっても採用される可能性は十分あります。
8トントラックの運転についてのまとめ
最後に8トントラックの運転に関して、ポイントをまとめます。
・8トントラックは、車体が中型トラックがベースで、最大積載量は大型トラック並みの増トントラックのことである
・8トントラックは中型トラックベースだが、増トンにより重量が増えていることから大型免許でしか運転できない
・8トントラックは使用目的から積み荷が多くなりやすく、ブレーキがかかりづらかったり、横転しやすかったりするので、運転時は速度の上げ過ぎに注意が必要
・8トントラックは中型トラックベースだが、増トンにより重量が増えていることから大型免許でしか運転できない
・8トントラックは使用目的から積み荷が多くなりやすく、ブレーキがかかりづらかったり、横転しやすかったりするので、運転時は速度の上げ過ぎに注意が必要
8トントラックは特殊な規格の増トントラックであり、運転には大型免許が必要になることが大きな特徴です。
免許の条件は厳しいかもしれませんが、会社によっては大型免許の取得補助があったり、大型トラックに比べると運転のしやすさがあったりと、運転手側にもメリットはあります。
大型免許を持っている人や中型免許からスキルアップを考えている人は8トントラック運転手として働く道も検討してみましょう。
この記事の執筆・監修
トラQ編集部 佐藤 哲津斗
運営会社、株式会社しごとウェブの代表。運送業界に貢献できるようにトラQを運営しています。
トラQを使っていただいている皆様の仕事探しのお役に立つことができれば幸いです。