最終更新日:2025-02-16
6トントラックのサイズと運転時の注意点とコツ
皆さんは「6トントラック」という表記を見たことがあるでしょうか?
「大型トラック」や「4トントラック」といった表記は、免許要件や会社の募集要項でも目にすることが多いのですが、6トントラックはあまり見た覚えがない人もいると思います。
しかしこの6トントラックは、トラック業界的にも重宝されている大きさであり、トラック運転手として働く際に使う可能性は十分あるものです。
そんな6トントラックとその運転のポイントは、大まかに分けて以下の3つにまとめられます。
・増トンされた4トントラック(中型トラック)である
・運転時の注意点で増トンされて変わる部分が少しある
・スピード・後輪・周辺を意識した運転が必要である
・運転時の注意点で増トンされて変わる部分が少しある
・スピード・後輪・周辺を意識した運転が必要である
これらの項目を含めて6トントラックに関する情報を紹介していきます。
【目次】
1.6トントラックの基本的な知識
1-1.=増トン中型トラックである
1-2.増トントラックはどこで作られる?
1-3.使われる場面
1-4.4トントラックとの違いは?
2.運転する際の注意点
2-1.座席の高さによる注意点
2-2.曲がる際の注意点
2-3.ブレーキする際の注意点
2-4.バックする際の注意点
2-5.横風による注意点
3.運転時に意識するべきコツ
3-1.スピードを意識する
3-2.後輪を意識する
3-3.周辺の状況を意識する
4.近年の募集先
4-1.運転手を募集している主な業務
4-2.募集要項に関する注意
5.まとめ
6トントラックの基本的な知識
6トントラックを使う会社で働くには、6トントラックに関して正しい知識を身につけておくべきです。
そして、6トントラックはトラックの分類の中でも少し特殊なものになります。
=増トン中型トラックである
トラック業界において、荷物を積める重さの限度である最大積載量を基準に、「~トントラック」という表記をすることがあります。
その中で4トントラックは中型トラック、10トントラックは大型トラックというように、別のトラックの基準に当てはめられるものです。
それでは4トンと10トンの間にあたる6トントラックはどうなるのかというと、中型トラックを増トンした「中型増トントラック」に当てはまります。
増トンとは主に、中型トラックの車両総重量(最大積載量を含めた車全体の重さ)と最大積載量の範囲内で、最大積載量を増やしたトラックのことです。
道路交通法における中型トラックと大型トラックの重量は以下の基準となっています。
・中型トラック……車両総重量は11トン未満で最大積載量が6.5トン未満のトラック。
・大型トラック……車両総重量は11トン以上で最大積載量が6.5トン以上のトラック。
・大型トラック……車両総重量は11トン以上で最大積載量が6.5トン以上のトラック。
つまり、最大積載量を6.5トン未満であれば中型トラックの範囲内となるので、増トンによって免許を変えずに、より多くの荷物を運べるようになるのです。
そこから最大積載量6.5トン未満は小数点以下を切り捨てることで6トンになるので、増トントラックは6トントラックと呼ばれるようになりました(6.5トントラックと呼ぶこともあります)。
増トントラックはどこで作られる?
増トンによってトラックの最大積載量を勝手に増やして良いのかと思うかもしれませんが、正規の手段であれば法律違反になりません。
ただし、中型トラックを一から増トンする場合は、改造する時間の他に車両総重量を変更したことを申請する手続きが必要であり、使用できるようになるまで、やや手間がかかってしまいます。
そのため、6トントラックは現在所持している中型トラックを増トンするよりは、増トン済みの中型トラックを中古販売で入手する形が多くなっています。
また、トラックメーカーも最初から6トントラックとして製造する場合もあり、新車として6トントラックを購入するパターンもあります。
使われる場面
6トントラックの運転は中型トラックの増トンであることから、中型免許で運転できます。
単純に今より多くの荷物または基準ギリギリの重さがある荷物を運びたい場合にも使われますが、中型免許で良いことで運転手の募集条件の敷居を下げられるメリットもあります。
増トンをしたことで扱う荷物まで大きく変わることがないので、6トントラックでも食品や雑貨を始めとした様々な業種で使われるものです。
4トントラックとの違いは?
中型増トントラックである6トントラックですが、トラックとしての見た目は4トントラック(中型トラック)とほとんど見分けがつきません。
しかし、この2つを見分けられる箇所が一つだけあります。
それはタイヤのホイール内についているボルト穴(ナットが入る箇所)の数です。
4トントラックの時は穴の数が6であるのに対して、6トントラックでは穴の数が8(もしくは10)に増えています。
車のタイヤはボルト穴が多くなるほど、重さを支えられる比重が増えるため、トラックでも穴の数から4トンか6トンかを見分けられるのです。
どちらも同じ免許で運転できるので、見分けられずに困る場面はほとんどありません。
しかし、次で紹介する注意点で4トンと6トンでは少しだけ違う点があるので、運転する前に把握するためにも知識として覚えておきましょう。
運転する際の注意点
6トントラックは中型トラックがベースになっていることから、運転する際の注意点も中型トラックとほとんど同じものになります。
ただし、増トンしたことで少しだけ変わる部分もあるので、それも含めて注意点を見ていきましょう。
座席の高さによる注意点
4トントラックの座席の高さは一般的な車両より約2倍の高さがあり、視点や視野の広さが変わってきます。
そして、視野が広くなると運転中のスピード感覚が鈍ってしまうことが多く、自分が思っているよりもスピードを出てしまうことがあります。
6トントラックと4トントラックでは、タイヤのボルト穴は異なりますがタイヤの大きさは変らず、座席の高さも変わることはないので、注意点はほぼ同じです。
少し違う点は重量が上がっている分、重いトラックを動かそうとアクセルを多く踏みがちになるので、よりスピードメーターに注意して走行する必要があります。
曲がる際の注意点
トラックでは一般的な車両よりも車体が大きいことから、内輪差も大きくなります。
内輪差が大きいことは、内側でバイクや人を巻き込んだり、それを回避しようと大きく回って別の車両や物に接触してしまったりする可能性があります。
6トントラックの車体は基本的に4トントラックのままなので、内輪差も同じ大きさになります。
カーブや右左折は、トラックの運転の中で難しいと感じる人も多い部分なので、大きさとしては違いがありませんが、十分に注意が必要です。
ブレーキする際の注意点
ブレーキを踏んでから停止するまでの時間は、止まる直前の車両の速度と重さが関わっており、ある程度の重量がある4トントラックでは、停止するまでの時間は長くなってしまいます。
6トントラックは増トンしていることから、元々の重さや限度重量まで荷物を積んでいる状態では、停止までの時間は相当長くなります。
重い車両に対してブレーキをしっかりかけないといけないので、この点は4トントラックと最も違いを感じられる注意点と言えます。
バックする際の注意点
4トントラックでは荷台が平たい形状でない限りは、ルームミラーで車両の後方が見えなくなります。
車両の後方が見えなくて困る場面はたくさんありますが、特に困るのは駐車や車庫入れなど、バックでトラックを停車させる時です。
バックする際は真後ろが死角になることに加えて、運転席から反対の位置となる車両の左側も目視やミラーでは見えづらくなっています。
しかし6トントラックの場合は、4トントラックと比べるとバックしやすい場合が多いです。
その理由は、6トントラックでは増トンのタイミングでバックモニターを付けることが多く、中古販売でもバックモニターを装備した車両が多く出回っています。
また、6トントラックを新車としてメーカーが製造する時も、バックモニターを標準装備している車両が多い傾向があります。
そのため、完全な死角となる真後ろはバックモニターで見られるので、4トントラックよりもバックがしやすくなっているのです。
ただ、バックそのものはある程度慣れが必要であり、危険を完全に排除できるわけではないので、バックモニターを活用しつつも十分注意して動かす必要があります。
横風による注意点
トラックは全長の長さから風を受けやすくなっており、高速道路でスピードを出した状態で強い横風を受けると、ハンドルを取られたり、転倒したりしてしまう可能性があります。
4トントラックもその例に違わず、強い横風に注意が必要ですが、増トンした6トントラックであれば全体が重くなる分、横風に強くなると思うかもしれません。
しかし実際にわかりやすく体感できるほど横風に強くならず、ハンドルや転倒のリスクは変らないものです。
最大積載量分の荷物を積んだ状態であれば、重さの違いを感じられるかもしれませんが、それ以外の状態では感覚は4トントラックとほぼ変わりません。
風が強い日は油断せず横風を意識した走行をしていきましょう。
運転時に意識するべきコツ
6トントラックは一般的な車両と比べると、運転の難易度が少し上がります。
ただ、先の項目の注意点と合わせて運転時に意識するべきコツを覚えることによって、慣れていない時でも運転がスムーズになります。
スピードを意識する
注意点でも紹介したように、6トントラックではスピードが上がりやすいことは変らず、重量があるのでブレーキしてから停止するまでの時間も長くなっています。
しかし荷物を乗せた状態では、発進する時は大きな力が必要で、アクセルを踏み込んでしまいがちで、走り始めた後もそのまま踏み込み過ぎてしまうこともあります。
またスピードを出す時のアクセルワークは、慣れていくと感覚が身に付くものですが、感覚だけで判断すると、どうしても速くなりがちなのです。
これらスピード感覚に関する注意点は、普段から走行時のスピードをなるべく抑えて、一定のスピードで走行する意識をしていくことです。
法定速度と照らし合わせて普段のスピードをなるべく抑えることで、咄嗟にブレーキをかける必要がある場面など、急な操作にも対応がスムーズになります。
道が空いている時にはスピードを出したくなるかもしれませんが、その時もスピードを抑えて一定の速度で走行することによって、アクセルワークも自然に踏み込み過ぎないものとなります。
スピードを抑えた状態で走行することに慣れることによって、事故も避けられるようになるので、意識して抑えていきましょう。
後輪を意識する
6トントラックの運転の中でも難しいと感じる人が多い曲がる動作です。
6トントラックは前輪のある運転席から後輪がある最後尾までの長さがあり、一般的な車両と同じ感覚のままでは、後輪まで曲がり切れなくなってしまいます。
そのため曲がる際のコツは、後輪がどのように動いていくか意識しながら曲がるところにあります。
例えば一般的な車両の感覚では交差点を左折する際はすぐに曲がっても問題ありませんが、6トントラックの場合は、車両の前方が少し曲がり角を過ぎた方が綺麗に曲がれるのです。
すぐに左折してしまうと後方が反対車線に大きくはみ出す形になってしまい、交差点の状況によっては曲がり切れず動けないか、他の車両に接触してしまう可能性があります。
また、バックについても後輪が駐車線や車庫の枠に入る軌道を考えると、ハンドルの切り直しを少なくできるものです。
車両感覚が掴めると後輪も勝手に意識できますが、それまでは後輪をしっかり意識後輪をしっかり意識するようにして動かしましょう。
周辺の状況を意識する
6トントラックで人や物を巻き込んだ事故が発生する原因は、運転技術よりも周囲の確認を怠っていたことの方が圧倒的に多いです。
曲がる際の巻き込み事故や接触事故は、表面的な事故原因は曲がる最中に気付かなかったことですが、人や物の状況は曲がる箇所に来る前までに確認できるものです。
トラックの前にバイクが走っていると、そのバイクが曲がり角を通り過ぎるまで待つことを心がけ、横断歩道を渡る人も先に渡って貰うことで巻き込む可能性もありません。
それら他の人や物の状況を把握するためには、常に周辺の状況を意識した運転をすることがコツなのです。
6トントラックの構造上、どうしても死角は生じるものですが、走行中でも目視とミラー、バックモニターを活用することで、全体的な状況の把握はできるものです。
危険が発生する状況を作らないためにも周辺の状況は意識すべきコツです。
そして、これら運転のコツどれか一つを優先するわけではなく、3つを合わせることで安全な運転に繋がります。
スピード抑えた走行によって周辺を確認する余裕が生まれ、周辺を意識したことで後輪の動かし方もより意識しやすくなるなど、それぞれが別の意識につながるのです。
一度に意識することは大変に感じるかもしれませんが、大きな車両は慎重な運転をし過ぎるに越したことはないので、重ねて意識していきましょう。
近年の募集先
6トントラックは様々な場面で使われていますが、近年で直接6トントラック運転手を募集しているのはどのような会社なのでしょうか?
運転手を募集している主な業務
6トントラック運転手は単体の募集よりは、4トンと6トンの両方の中型トラックを所持している会社で募集をかけているところが多いです。
そのため実際には、6トントラックを運転する時もあれば、4トントラックを運転する時もあるので、運送する荷物の量は変わってくるかもしれません。
免許的には問題ありませんが、先に書いたように重量の違いで感覚が違うこともあるので、その点は注意しておきましょう。
荷物は少し重量のある木材・建築材が中心となっており、それ以外にも大量の製品を運送することもあります。
木材・建築材は指定された場所へ届けるため、決まった場所はありませんが、製品の場合は6トントラックでもルート配送になる場合もあります。
運送ルートが変わる方がいいかは仕事を続ける上で重要な要素なので、運送する荷物の種類も参考にして判断していきましょう。
また、会社によっては積み下ろしに利用するフォークリフトの免許を要する条件が提示されている場合があります。
この部分に関しても会社側が免許取得料を負担してくれるか、絶対に必須であるかを確認しておくと、会社とのミスマッチが減ります。
募集要項に関する注意
6トントラックが増トン中型トラックであることは間違いないのですが、会社によっては6トントラックという表記をしていても、免許要件に大型免許を求めている場合があります。
これは今回紹介した増トン中型トラックの意味で使っているのではなく、「最大積載量6.5トン以上あるトラック」として6トントラックと表記しているのです。
元々6トントラックという表記は、トラック業界のみで使われる単語であり、正式な基準を設けているわけではありません。
そのことから、大型免許が必要な6トントラックも誤表記であるとは言えませんが、全体的な傾向から見ると少しズレた表記になっています。
認識として6トントラックは、増トン中型トラックで間違いありませんが、会社の募集要項で明確に「増トン」等が書いていない場合は、必要免許の欄も確認しておきましょう。
まとめ
最後に6トントラックについてもう一度まとめを紹介します。
・6トントラックは、4トントラック(中型トラック)を道路交通法の最大積載量の範囲内で正規に増トンしたトラックであり、中型免許で運転できる
・6トントラックの運転時の注意点は4トントラックとほとんど変わらないが、重量が増した分速度面に要注意
・6トントラックはスピード・後輪・周辺の3つを合わせて意識すると、運転で難しいと感じられる部分もスムーズになる
・6トントラックの運転時の注意点は4トントラックとほとんど変わらないが、重量が増した分速度面に要注意
・6トントラックはスピード・後輪・周辺の3つを合わせて意識すると、運転で難しいと感じられる部分もスムーズになる
6トントラックは大々的に使われる表記ではありませんが、増トン中型トラックとして近年では数が増えてきているトラックです。
最大積載量が増えたことで活用できる場面も多く、中型トラック運転手として雇われた際には使う可能性があるかもしれません。
今回紹介した注意点や運転のコツなどを覚えることによって、いきなり使うことになっても対応できるので、中型トラック運転手を目指す人はぜひ覚えてみてください。
この記事の執筆・監修

トラQ編集部 佐藤 哲津斗
運営会社、株式会社しごとウェブの代表。運送業界に貢献できるようにトラQを運営しています。
トラQを使っていただいている皆様の仕事探しのお役に立つことができれば幸いです。